バーレイワインというお酒をご存知ですか。
ワインという名前がついていますが、麦から作られたれっきとしたビールです。
どのようなビールなのか気になりますよね。
今回はバーレイワインの特徴や、その魅力などについてお話しします。
1.バーレイワインはビールなのにアルコール度数が高い
一般的に飲まれているビールのアルコール度数は約5%程度です。
それに比べ、バーレイワインのアルコール度数は、ワインに匹敵する高さの8〜12%となっています。
原材料は麦芽とホップであり、通常のビールと同様です。
では一体何がこれほどまでの違いをもたらさているのでしょうか。
その鍵は、使用している原料の量と熟成にかかる時間にあります。
ビールのアルコール度数は、使用する原料の量に比例すると言われています。
アルコール度数の高いビールを作るには2つの方法があり、熟成途中で砂糖を追加する方法と、最初から濃度の高い糖度の麦汁を使用する方法があり、バーレイワインはこの後者により作られています。
そのため、バーレイワインの製造には、一般的なビールの製造に使用する量の2.5倍もの麦芽と6倍ものホップが使用されています。
加えて、最も糖度が高い一番麦汁のみを使用して作られているため、濃密でとろりとした口当たりが特徴として挙げられます。
2.日々成長を遂げるバーレイワインの魅力
通常、ビールは麦汁に酵母を加えて作られています。
酵母の働きにより麦汁に含まれる糖が分解され、アルコールと炭酸ガスを生み出すのです。
先程もお話したように、バーレイワインには、一般的なビールに比べ非常に糖度の高い麦汁が使用されているため、酵母が麦汁中の糖分を分解するために長い時間を要します。
通常のビールの熟成期間が5日から数十日程度であるのに対し、バーレイワインは半年以上、時には数年にも及ぶ熟成期間が必要となります。
長期間熟成している間に、熟成時に用いる木樽の香りや、酵母が生み出した副産物によるドライフルーツのような甘い香りがビールに染み込み、まるでワインやシェリー酒、紹興酒、あるいは日本酒の古酒のような香りになります。
また、同じ原酒の熟成でも、使用する熟成樽によって味や香りに違いが生まれます。
木樽そのものの木の香り、その木樽に入っていた酒の香りや味わいなど、使用する樽の歴史や性格もビールの味や香りに影響を与え、味に複雑な奥いきがあり芳醇な香りをもつバーレイワインが誕生します。
3.バーレイワインを美味しく熟成させるために
通常のビールは、缶や瓶等に移す際、濾過または熱処理を行なうことで酵母を取り除いています。
これは酵母による過発酵により、ビールの味や風味の変化を防ぐために行なわれるもので、出来たてのビールの状態をキープするためにとても大切な工程です。
一方バーレイワインは、熟成樽から瓶等に移す際、酵母は濾過や熱処理をされておらず、瓶の中でも発酵と熟成が進むようになっています。
鮮度が重要である一般的なビールとは違い、熟成を楽しむバーレイワインは、購入後すぐに飲んでも芳醇な味わいを楽しむことができますが、何年か寝かせることでさらに熟成が進み、自分だけのオリジナルビールに仕上げることも可能です。
せっかくですから、美味しく熟成したものを楽しみたいですよね。
上手に熟成をさせるポイントがいくつかあります。
そこで、自分で上手に熟成させるためのポイントについてお話しします。
①保存する際は必ず冷蔵庫でバーレイワインは4℃前後での保存が理想的です。
野菜室の温度は5℃〜8℃であり、長期の保存にはオススメできません。
また、床下倉庫やワインセラーも温度が高いのであまり望ましいとは言えません。
②光を遮る光はビールの劣化の原因となります。
保存の際には、瓶の周りに新聞紙などを巻きつけて光を遮るようにしてください。
③温度変化に注意するビールのストレスとなるため、温度変化には気をつけてください。
特に冷蔵庫の扉側は開け閉めにより温度変化が起こりやすいので避けてください。
④瓶は立てて保存する瓶を横にしてしまうと、空気に触れる面が多くなってしまい酸化を早めてしまいます。
⑤振動を与えないようにするビールには炭酸ガスが含まれているため、振動もストレスとなります。
温度変化と同様に、冷蔵庫の扉側は振動も生じやすいため避けた方が良いでしょう。
以上の5点に気をつけて上手く熟成させてください。
熟成で味が変わるバーレイワイン
熟成すればするほど芳醇で深みのある味へと変化を遂げるバーレイワイン。
熟成樽により味や香りが異なるなど、多くの魅力に溢れるビールですよね。
樽による違い、熟成期間による違いなど、異なる条件下で作り上げられたビールを飲み比べてみるのも楽しいですよね。
いつものビールもいいですが、自分でゆっくりと熟成させ、自分好みの味に仕上げ、記念日などの特別な日に、香りや味を楽しみながらゆっくりと味わうのもいいのではないでしょうか。