ビールといえば黄金色の液体に白い泡、と思っていませんか?
しかし世界中にはさまざまな色や原料のビールがあり、それぞれに個別の名前が付けられています。
日本で見かける発泡酒や第3のビールと呼ばれるお酒も、実は原料によって区分されているのです。
そこで今回はビールの色や原料による違いを探り、種類別にご紹介します。
1.酵母によるビールの分類
ビールの主な原料は大麦を発芽させた麦芽、ホップという名の植物、水、糖類、そして酵母です。
味を整えるために米やスターチなどを混ぜることもありますが、上の5つは必須アイテムです。
ビールのアルコールと炭酸は酵母によって生まれるのですが、この酵母の種類によってビールは大きく3つに分けられます。
1つは下面発酵ビールとよばれ、発酵が終わった後に液の下方に沈殿する酵母を使用しています。
2つめは上面発酵ビールといって、発酵中の液の表面に浮かんだ酵母を使用するものです。
人工的に培養した酵母を使わず自然の酵母のみを使用すると、自然発酵ビールとよばれるものになります。
それぞれはさらにその色によって細かく分類され、名前が付けられています。
酵母の種類と色の種類によって分けられるビールの銘柄とその味の特徴を覚えれば、初めて飲むものでも味の予想ができますよ。
2.色によるビールの分類
次に完成したビールの色についてみていきましょう。
まず世界中でよくみられる、淡い黄金色をしたビールについてです。
世界で主流のものはピルスナーという下面発酵ビールで、ホップの効いた爽快な味がします。
同じく下面発酵で単色のものにはアメリカビールとドルトムンダーがあり、両方とも苦味の弱い味になっています。
上面発酵ではペールエール、ヴァイツェン、ケルシュの3種類が淡色に分類されます。
どれも苦味が少なく、飲みやすいビールが多いです。
褐色をしているのは上面発酵のアルト、そして琥珀色でアルコール分が高い下面発酵のメルツェンです。
これらは苦味が効いていますが、アルトはスッキリ、メルツェンはまろやかな味わいが特徴です。
最後はどれも香ばしく濃厚な味をした濃色のスタウト、デュンケル、ボックをご紹介します。
上面発酵のスタウトは黒色ビールともよばれ、下面発酵の2種と比べ酸味があります。
デュンケルは甘く香ばしい香りでどちらかといえば濃褐色、ボックは最近は淡色のものも売られています。
3.副原料の有無によるビールの分類
最初に述べたように、ビールには味を整えるために麦芽やホップ以外のものを用いることがあります。
米などの副原料を使うかどうかでもビールは分けられているのです。
副原料としてよく使われるのは、米以外にもトウモロコシ、スターチが挙げられます。
日本では今年2018年の4月から酒税法が改定され、ビールと分類される商品に含むことができる副材料が増えました。
副材料の重量が麦芽の重量の5%までであればハーブや果物の皮を使うことができるようになったのです。
これにより、オレンジ風味やレモングラス風味の一味変わったビールも楽しみやすくなりました。
他にも大麦麦芽の代わりに発芽していない大麦を入れたり、小麦やライ麦など他の麦を使用することもあります。
こうした副原料は根本的にビールの風味を変えるため、独特の味わいを生むことができます。
4.発泡酒とビールの区分
副材料を多く含む製品は、重量が麦芽の5%分よりも多いと「ビール」と名乗ることができません。
そうした種類のお酒は「発泡酒」と区分され、現在の日本の酒税法ではビールと別のものとして扱われます。
逆に言えば製法はビールとほとんど同じでもフレーバーの違いによって発泡酒と表示されているものがあります。
輸入ビールやクラフトビールの中にもこうした理由で発泡酒と名乗っているものが多く存在します。
発泡酒はビールのニセモノ、味も中身も劣ると思っている人も多いかもしれませんが、発泡酒も立派なビールです。
ラベルだけで敬遠せず、ぜひ実際に味や香りを楽しんでみてください。
5.第3のビールと発泡酒の区分
一方で第3のビールと呼ばれるものはビールと全く異なる原料で作られていることがほとんどです。
第3のビールは厳密には法律上「その他の醸造酒(発泡性)①」もしくは「リキュール(発泡性)①」と表されます。
実際に製品のラベルを見てみるとこのように書かれているはずです。
このような商品は麦芽以外の原料から作られているか、発泡酒にその他のアルコール飲料を混ぜて作られています。
麦芽やホップを酵母で発酵させてアルコールを作るビールとは根本的に違うものなのが一目瞭然ですね。
その代わり価格を下げたり成分を調節したりなど、一般的なビールにはない個性も作り出すことができます。
TPOや目的に合わせて飲み分けたいですね。
自分に合ったビールを見つけてみよう
ビールは日々新しい商品が開発されていますが、原材料や色味を見ればどんな味なのか想像することができるます。
読書やスポーツ観戦、映画鑑賞のおともに新しいビールを試してみるのも良いかもしれません。
家族や友人と一緒に飲み比べをするのも楽しそうですよね。