ラオホ | 味/歴史/特徴/燻製/日本で飲めるラオホビール

ビールの豆知識最終更新日:2018年9月28日

ビールの中にはそれほど冷やさず、むしろ常温位の温度でちびちびと飲むスタイルのビールも多くあります。

今回紹介するラオホもその一つです。

今までのビールに飽きた方、新しいテイストやスタイルのビールに挑戦してみたい方にオススメのビールと言えます。

このラオホビールについての特徴と魅力をご紹介します。

1.ラオホビールとは

ラオホはドイツビールの一つです。

もともとドイツ語で「煙」という言葉を意味する名前のビールで、文字通り製造過程で燻製というプロセスが加えられた日本では珍しいスタイルのビールになります。

煙で燻製した麦芽を使用していることから風味は大変スモーキーなビールです。

発祥はバンベルク。

ハンベルクはドイツ南東部の人口7万人強の学術都市です。

その旧市街は、二つの世界大戦を乗り越え奇跡的に残った中世の雰囲気を残す町なみとなっています。

1993年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。

日本では長岡市と姉妹都市提携を結んでいます。

ハンベルクはラオホビールの本場として、現在は小規模な9つ醸造所と1つの旅館を兼ねた醸造所があり、ラオホビールを製造を行っています。

それらの醸造所にまつわる周辺産業(麦芽製造業や醸造機械業)も発達しており、学術とともにビール産業がバンベルクの大きな基幹産業となっているのです。

そんなドイツのスモーキーなビールについて、その特徴と魅力を次の項で説明していきます。

2.ラオホの特徴と魅力

前の項でもお話ししましたが、ラオホビールの特徴は燻製された麦芽を使ったスモーキーな味わいです。

このスモーキーさは香りにも十二分に反映され、独特のスモーク香は、多くの人を引き付ける魅力を持っています。

香りだけでも楽しめるビールと言っても過言ではありません。

燻製の食品(スモークチーズやスモークした野菜のような香り)の他に甘い香りがあります。

その匂いはクローブに多く例えられます。

クローブとはスパイスの一種で1.5センチほどの釘のような形をしています。

色はラオホと同じ濃褐色、強く甘い芳香が特徴で、洋菓子やホットワインの香料として用いられるなど、お酒や洋菓子と相性がよさそうなスパイスです。

そんなスモーク香とクローブの似た甘い香り、好きな方には飲む前から十分に楽しませてくれる魅力と言えます。

味わいはそれらの香りが引き立て役となるような深いコクとモルトの甘みが効いた濃厚な風味です。

飲んでいくうちに癖になる。そんな味わいとなります。

夏場に飲むようなライトなビールをイメージして飲むとそのギャップにびっくりされる方も多くいらっしゃいます。

しかし、慣れていくうちにどんどんその魅力にひかれていくというビールと言えます。

3.ラオホビールの種類

「ビアスタイルガイドライン1208」という日本地ビール協会が定めたガイドラインがあり、そのガイドラインには世界各国のビールを細分化して分類したものが収められています。

その中でラオホにはいくつか種類があると定められています。

その種類は5種類あり、ヘレスラオホ(黄金色に近い)、メルツェンラオホ(ゴールドから赤みがかったブラウン)、ボックラオホ(ディープカッパーからダークブラウン)、ヴァイスラオホ(白)、デュンケルヴァイスラオホ(カッパーブラウンからダークブラウン)というように燻製された麦芽を使った共通点はあるものの、多彩な製法や多彩な色彩のラオホが存在します。

ただ、一般的なラオホは燻製した麦芽から下面発酵で造られるビールでややこげ茶に似た色のビールになります。

味わいも飲みやすいものから、玄人向けの物など様々な種類があります。

4.日本で生産しているラオホビール

独特の製法なので、日本ではそれほど多くラオホを醸造しているところはありません。

しかも、メジャーなメーカーでは生産されずすべてが地ビールとしての生産となっています。

具体的な銘柄を挙げると、富士桜高原麦酒のラオホ、猪苗代ビールなどです。

富士桜高原麦酒は山梨県の地ビールで、麦芽をブナのチップで燻製にして作った濃厚な燻煙香が特徴のラオホです。

猪苗代ビール(ラオホ)は福島県の地ビールでブナのチップでモルトを燻煙しています。

これにより旨みと香りを引き出しています。

甘みが強く飲みやすい口当たりになっています。

このように多くの醸造所が手掛けているわけではありませんが、いずれもこだわりを持って提供された製品です。

ラオホビールを飲んで見よう

華やかな燻煙香と甘い味わいのラオホビール。

その深い味わいを一度は試してみてください。