皆さんは「セゾンビール」はご存知でしょうか。
最近ではコンビニでも見かけるようになりました。
とはいえ「気にはなるけど買うにはちょっと躊躇しちゃう…」という人も多いのではないでしょうか?
そこで今回はセゾンビール」について、その特徴や魅力をご紹介します。
1.セゾンビールは、季節という意味のビール
セゾンとはフランス語で「季節」という意味で、ベルギーの農夫が農作業中の水分補給の為に農閑期に作っていたビールです。
季節限定で作っていたから季節ビールと呼ばれていました。
でも、なぜ水分補給にビールだったのでしょうか?
当時はまだ浄水設備が整っていない時代、生水には病原菌が含まれていて飲み水には適していませんでした。
そこで、殺菌作用のあるアルコールで醸造過程で煮沸もしているビールは安心して飲める飲み物だとして、各農家ではビールを醸造して飲み水の代わりにしていました。
セゾンビールは日本でも夏季限定で流通することが多いようですが、背景にはそんな理由があるビールです。
2.セゾンビールの味の特徴
夏の農繁期のために冬の閑散期に作られていたセゾンビールは、長期間保存しておくために様々な工夫がされていました。
例えばビールの原料として知られるホップは香りや苦みなど、ビールの味を特徴づける重要なものですが、雑菌の繁殖を抑えビールの保存性を高める効果もあります。
長期保存が必要なセゾンビールには、このホップがたっぷりと使われています。
ホップは熱を加えると苦みが強くなり、非加熱のままだとビールに香りを与えます。
セゾンビールはドライホッピングという発酵段階でホップを直接投入する手法によって、ホップの華やかな香りがつけられているのが特徴です。
また、ハーブやスパイスを加えて保存性を高めたりもしていたため、非常にバリエーションの広い味であることも特徴のひとつです。
更に、ビール作りの最初の工程である糖化の段階で乳酸菌を取り込むことで、腐敗を防止するとともにスッキリとした酸味を効かせることで、とても爽やかな味に仕上げています。
保存設備が整った現在でも、セゾンビールは伝統の醸造方法によってしっかりと特徴づけられています。
重厚な苦みとキレのある酸味の爽快な飲み口は、日本の暑い夏にぴったりです。
3.セゾンビールのアルコール度数
セゾンビールの特徴としてもうひとつ挙げられるのは、アルコール度数です。
セゾンビールは飲み水の代用品として作られており、農作業中の水分補給に使われていたため、あまりアルコール度数が高いと作業に支障をきたします。
かといってあまりにアルコール度数が低いと保存性が低くなり、せっかく作ったビールが夏まで持たなくなってしまいます。
そのため、セゾンビールのアルコール度数は大体5%~7%で調整されていました。
最近はアルコール度数の高いビールも見かけるようにはなりました。
しかし日本でも一般的にはこの5%〜7%のビールが多く、日本人に馴染みやすいアルコール度数であることもセゾンビールの魅力と言えます。
4.実はなんでもありのセゾンビール
ここまでセゾンビールの特徴についてご紹介しました。
しかし、それ以外にもセゾンビールには大きな特徴があります。
それは「わりとなんでもあり」ということ。
もともと各農家がそれぞれの家で作っていたものであるため、家ごとで特徴が違いました。
入れるホップの量やタイミング、スパイスやハーブの量や組み合わせ、また、アルコール度数にしても厳密に規格があった訳ではありません。
5%より低かったり7%より高かったりと「各家庭の味」があったという点がセゾンビールの最大の特徴と言えます。
日本でも漬物を漬けたり味噌を手作りしたりするご家庭があるかと思いますが、それに近い感覚です。
実際「あの家のビールはうまい」と評判になって、そこからビールの醸造所に発展した農家もあったようです。
5.セゾンビールには自分に合った味を見つける楽しさがある
セゾンビールは曖昧な定義のビールで、一応「これがセゾンビールだ」という方向性はあっても、細かい違いは認めてしまう懐の深さがあります。
そのため「スパイスが強いのが好み」とか「酵母感が強くて重めの味がいい」とか、自分にあったセゾンビールを探す楽しみがあります。
最近は日本でもセゾンビールを作る会社が登場してきており、スパイスではなく酒米や酒麹を使ったものもあります。
様々な発想で今でもその可能性を広げ続けている、自由と大らかさがセゾンビールの1番の魅力なのではないでしょうか。
セゾンビールを飲んでみよう
セゾンビールの特徴や魅力についてご紹介しました。
最近ではコンビニでも見かけるようになり、以前に比べると入手も容易になったセゾンビール。
今まで手を出せずにいた人も是非チャレンジして、新たな楽しみを見つけていただけると幸いです。