アーバンエールの魅力と特徴。豊かな香りとキャラメルモルトのコク

ビールの豆知識最終更新日:2018年10月7日

アーバンエールはアメリカのホップを使ったカラメル色のビールです。

まず「エール」とは何なのかというところから、アンバーエールの特徴、魅力までをご紹介します。

1.エールの特徴である豊かな香り

そもそもアンバーエールのエールとは何なのか、ご存知でしょうか。

ビールにはラガーとエールがあり、一般的なビールはラガーです。

ラガーとエールは発酵方法が異なります。

ラガーはラガー酵母を用いて、5度程度の低温で、7~10度程度の発酵期間、1ヵ月の熟成期間を経て作られます。

ラガーの発酵は、酵母がタンクの底に沈んでいくため「下面発酵」と呼ばれます。

それに対し、エールはエール酵母を用いて、20~25℃の高温で、3~4日の発酵期間、2週間の熟成期間を経て作られます。

エールの発酵は、酵母が麦汁の上の方に上がってくるため「上面発酵」と呼ばれます。

その製法の違いから、ラガーはスッキリとした味で飲みやすく、のどごしを楽しむことができ、エールは豊かな香り味わいを楽しむことができます。

ちなみに、アンバーエールは「ペールエール」の一つなのですが「ペールエール」とは、それまで一般的だった黒ビールに比べて色が淡い(ペール)ものを指します。

アンバーエールはアメリカ発祥のビールで、アメリカ産のホップを使用しています。

なお、アンバーエールにも、低温で活動するラガー酵母をエールの高温で発酵させる「スチームビール」もあり、これはエールのフルーティーな香りと、ラガーのスッキリした味わいの両方を楽しむことができます。

2.アーバンエールはキャラメルモルトの褐色と深いコク

ビールの色やコクに関わるものに「モルト」があります。

ビールには大麦、小麦、ライ麦などが使われますが、麦は発芽するときに、でんぷんを糖に分解する酵素を生み出します。

そのため、ビール作りには麦を発芽させるのですが、発芽させたものをモルトと言います。

モルトは乾燥させる温度によって
「ペールモルト」「ピルスナーモルト」(85~105℃の低温で乾燥)
「チョコレートモルト」「ブラックモルト」(160~220℃の高温で焦がしながら乾燥)
「キャラメルモルト」(糖化後に120~160℃の中温で焦がしながら乾燥)
など様々なモルトが作られます。

アンバーエールは、キャラメルモルトを使って作られます。

麦芽を少し焦がすため、銅色(褐色)から琥珀色をしていることが特徴です。

ちなみに、アンバーとは「琥珀色」という意味です。

よって、アンバーエールは「淡い色(ペール)」を示すぺールエールの一種なのに、色が濃いということになります。

また、キャラメルモルトは麦芽のでんぷんを酵素による力で糖化させてから乾燥させます。

そのため、糖が乾燥によって水分がなくなった後は、砂糖が焦げてカラメル化します。

カラメルがクリスタルのように結晶化するため、キャラメルモルトはクリスタルモルトとも呼ばれます。

ビールには麦芽を糖化する酵素が必要なのですが、キャラメルモルトには酵素が残っていないため、ペールモルトなどをベースにして、全体の5~20%程度混ぜてコクと甘み、香りづけに使われます。

アンバーエールではキャラメルモルトを使用することにより、甘みとカラメルのようなコクを感じることができます。

3.アーバンエールは強めの苦味と香ばしい香り

アンバーエールは麦をローストすることから、強め苦味と香ばしい香りが特徴です。

ここで香りについて少し解説すると、エールの特徴である豊かな香りはエステル香、ホップ香、モルト香が組み合わさってできています。

エステル香は酵母が醸造の過程で生み出すバナナ、リンゴ、洋ナシ、ピーチなどのフルーティーな香りです。

ホップ香は、ホップというつる性の植物の「毬花(まりはな)」という部分を使うことによって麦汁に加えられる苦味です。

モルト香とは、モルトを乾燥させたことによって生み出される香りで、上でも説明していますが、乾燥させる温度によってです。

アンバーエールの場合、エステル香は控えめでホップ香(苦味)が強いのが一般的ですが、ものによってエステル香が強いものや苦味が控えめなものもあります。

また、高温でローストすることにより、焼き立てのパンのような香ばしい香りを感じることができます。

普通のビールは軽くて飲みごたえがない、という方にオススメです。

口の中でその風味と味わいが広がりますので、ゴクゴクと飲み干すのではなく、是非ゆっくり口の中でそのしっかりした味と香りを楽しんでみて下さい。

ガツンとした苦味としっかりした風味は、ステーキやハンバーガーなどアメリカ風の肉料理と合わせるのがオススメです。

アンバーエールを飲んでみよう

アンバーエールの特徴と魅力をご紹介しました。

いつもののど越しスッキリのビールも良いですが、しっかりした味や香りが楽しみたいなという時には、美しい褐色と強めの苦味を持ったアンバーエールを楽しんでみてはいかがでしょうか。